産休中の女性研究者による色々あった出産振り返り
先日ついに出産という人生のビッグイベントを乗り越え、現在は3時間ごとに起床する生活を送っています。
ギリギリまで働いていたのと、実家には自分のスペースないやろな...って感じもあり、里帰りはしませんでした。そのため産後はひたすら夫が買い物・ご飯の調達をしてくれました。感謝感謝!シャッシャッシャ!(よく知らないYouTuberネタに雑にのる)
という訳で、個人的な出産振り返りです。
背景
予定日8月中盤の長男、我34歳為、高齢出産直前ですがハイリスクポイントは初産であること以外、特に該当する項目はありませんでした。里帰りもしなかったのでお世話になっていた病院にそのまま通うことができたし、産休はとったけど結局予定日の2週前までグラント面接受けて、1週間前まで研究ミーティングしてたしで正直しんどかったなぁ(遠い目)。
そしてお休み中は研究費は使えないのに、申請はできるという謎。事務の皆々様と協議の結果、自由にできる予算を複数人に紐づけすることで、なんとか休み中も学生さんの出張費を出せる体制を整えることができました。
でも、例えば実験系のラボでの試薬代とか、自分の代わりに実験をしてくれる人や研究室のメンバーのお給料がラボヘッドが産休に入ると止まってしまうというのは、流石にどうにかならないものですかね?例えば産休の期間に関して予め計画書を出して、代理の人を立てるかメールや書類での確認を許可する、とかができるようにならないかなぁ(ただし妊娠・出産にはイレギュラーも多いので必ずしも産休の期間だけ不在とも限らないのが厄介なところ...期間内に元気になるかもわからないし)
もうすべてのラボをコメンター制とかにするしかないのかもしれない(極論)
出産前日
という訳で時は出産前日。
予定日間近になると病院での健診が1週間おきになるんですが、予定日前日の(結果的に最後になった)健診では「なかなか赤ちゃんも下の方におりてきてないし、出産はまだまだですねー」との見立てでした。私も初産だし予定日はきっと過ぎるんじゃないかなーと夫と話していたんですが、なんとその日の夜に破水しました。
兆候として、今考えるとその前日の夜から前駆陣痛のようなものが来ていました(↓陣痛カウントアプリの履歴)。ただ間隔も痛みもかなり短い時間の間で、健診でも前駆陣痛が来ていますという報告をして終わりました。
ところが、健診が終わって午後に入った途端10分〜20分間隔で鋭い痛みが表れるように。15時頃にはおしるしと呼ばれる軽い出血もあり、この日はベッドで一人泣きながらスマホでカウントをしていました(不安な私が近づくとなぜか夫が毎回どっかに去って行くので後ほど苦情を出しました)
夜に夕ご飯を食べてお風呂に入ったらまた一度間隔が遠のきましたが、12時をまわってから突然5分周期に、さらにおしるしの水分量が一気に増えてなんかおかしいぞ?ってなった。結果的にはこれが破水だった。
出産当日
朝7時になってもう一度内診してもらう。このとき、マジで陣痛来ると痛みでヨロヨロして歩けなくて1cmでこんなに痛いの?ってなってたけど、診てもらったらその夜中の間の陣痛で既に4,5cmまで子宮口が開いてきていた。これをうけて分娩台に移動することに。
元々無痛分娩の予定だったので、このときにこれなら今日中には産まれそうですねと言われました。(実際には無痛分娩+吸引分娩で、深夜の陣痛が始まってから約18時間弱の分娩時間となりました。)
ただ分娩台には移動したもののすぐに何かができるわけではなく、あと少し耐えて!(麻酔科の先生が到着する時間というのと、もう少しお産が進んでから)ということで、正しい呼吸法とかいきみの逃し方を教えてもらいながらそこから数時間耐え。麻酔が入ったのが9,10時とかだったかな?
しかし麻酔の投入により、陣痛周期がせっかく短くなっていたのがまた伸びてしまったので陣痛促進剤投入。ここから最後は促進剤の投与量を5段階くらいまであげられることとなりました。
麻酔のおかげで体感で痛みを約半分くらいにしてもらえたので、初めは痛くてずっと目をつぶって周囲の会話にも反応できなかったんだけど、周りの人と話せる余裕が出てきて看護師さんたちと会話もできるように。ここからはひたすらいきむのを耐えて、子宮口が十分に開くのを待つ。お産が進み陣痛自体が2倍くらい強くなると8割くらいまた痛みを感じるようになる→麻酔の量を調節してまた5-6割くらいで感じられるようにする、という繰り返し。
しばらくすると子宮口の開きが6,7cmに進んだが、赤子の酸素濃度?モニターの観測値が良くないとのことだったので、酸素マスクを装着し少しでも酸素が回るようにする。こういうのいちいち点数がついて費用が上がるんですね(あとで明細を見た)。
お昼すぎには子宮口が9cmくらいまでに達するが、NSTで見ると赤ちゃんの位置はいまだ十分にさがってきていないので、すぐ分娩には至らなそうとのこと。産婦人科医の先生複数人に確認してもらい、このまま進まないようだと帝王切開になるかもなので覚悟しておいてと言われた(長引くと赤ちゃんにもよくない)
そこから間をおいてさらに内診で9.5cmくらい(10cm開けばok)までは来たが、赤ちゃんの頭が恥骨に引っ掛かってでてこない。ひたすら孤独にいきんで赤子を下に進ませる作業を粘り強く繰り返した結果、なんとか頭がつかめるぐらいのところまで降りてきたので、3時頃に最終的に吸引分娩を実施。
二人のお医者さんの押し(腹にエルボー)引き(赤子の頭カップ吸引)を受け、最終的に4時前に誕生しました!初めて抱いた赤子はあったかかった。このときのビデオを初めて見返したんですが、めちゃくちゃ体力的にしんどくて苦しかったのになんかあまり大変そうに見えなかった。看護師さんに自分のスマホで家族と胎盤の写真をたくさん撮ってもらったので、しばらくはサムネイルがスプラッタ状態でした。このとき臍帯血もとってもらいましたが、量が十分でなかったので研究用途で使われるそうです。
分娩後は大量出血のおそれがあるため、そこから子宮収縮の点滴を打ちつつ2時間程度分娩室で待機。このときトイレにいけることを確かめないといけないんですが、結果的に貧血でフラフラで尿も出なかったので茶をグビグビ飲みゼリー飲料を飲み干し、疲れ果ててうたたねして+1,2時間でようやく個室のお部屋に帰って来られました。豪華な晩ごはんも出たけど、ほぼ食べられず夫にあげました。
おつかれ!!!
産後一日目
身体が真にボロボロだった日(正直入院中はずっと痛くて、マシになったのは2週間後くらい)
出産当日は麻酔の効果と産後ハイもあったのか、痛みはあれど別に座ったり動いたりするのは大丈夫だな〜楽勝〜と思ってたんですが、次の日から激痛と大出血。えいんめ...!!!
私が経験した吸引分娩は元々無痛分娩で採用されやすい処置なのですが、胎児の頭に影響が残るリスクに加えて母体にもダメージが大きいらしく、最終的に3箇所くらい縫合されました。座っても横になっても丸まっても伸びても痛い。
ただこの日からご飯が少しずつ食べれるようになり、夫がつきっきりで買い出しや洗濯に行ってくれたので、ドーナツやネギトロなど食べたかったもののリクエストにも答えてくれました。
そしてこの日は1時に念願の赤子とお部屋でご対面、4時に初めてのミルク・授乳も行いました。正直授乳なんて本当にできるのかなと思っていたんですが、涙のようにぼろぼろと母乳が滴る様に人体の神秘を感じました。
ただロキソニン飲んでも後陣痛(子宮が収縮するときの痛み)がしんどかったので(経産婦の方が重いらしいですが、初産婦でもふつうにキツい)、その日はそれ以降は預けてゆっくり寝て過ごしました。
産後二日目
朝はゆっくりご飯食べてから10時に赤子をお出迎え。多少慣れてきたものです。
その日は沐浴指導があり、産後は夫にやってもらおうと思っていたので、私はただの冷やかし要員でした。父母教室でも体験はしたけど、本物の赤子は時間をおくと冷えちゃって号泣したり、バタバタ動いて滑り落ちそうになるので大変度合いが段違い。
この日は晩ごはん前後にもう一度預けて、無事態勢を整えたら初めて夜通しで面倒を見ることに。夫と交代でミルク・おむつの面倒を見ましたが、個室といっても一部屋しかないので交代期間もあまり休憩にはならず。ミルクを飲めばすんなり寝てくれたので想像よりは楽だったけど、やっぱり短時間で起きてしまう生き物の面倒を見るのは大変ですね。
産後三日目
産後四日目
所感
まだ生まれてから一月経っておらず、出血は止まりましたが関節の痛みやすぐ眠くなってしまうなど、本調子にはまだまだ遠いようです。焦らずゆっくりしたいと思います。
アンケートや大規模調査によると9割以上の母親は生後半年以上は育休とるらしくて、赤子の日々成長している姿を見るとそれぐらいはとれたら良かったなぁとも思いますが、まぁPIなので仕方ない。保育園に通っている以外の時間を少しでも充実して過ごせるようにしたいです。
謝辞
今回の出産で、直前まで働きつつ無事出産までこぎつけられたのも、職場やラボメンバーの皆さんが理解して支えてくれたおかげだと思っています。お祝いのメッセージや品々を送ってくれた友人や先輩方も本当に有難うございます。中には出産前に送ってくれた人もいましたが(笑)とても励まされました。
家族も定期的に体調を気にかける連絡をくれて、何かあったら駆けつけられるように泊りがけで練習に来てくれたり(今月も応援に来てくれることになっています)。うちの方は初孫なのでとても喜んでくれて、両家から素敵なお祝いも頂いてしまい、我が子は果報者です。
また今回里帰りなしの出産で無事に過ごせたのは、ほとんどの健診に同行してくれて、出産立会いからずっと一緒に入院に付き添ってくれた夫の助けがなければなし得なかったことでした。妊娠中から一緒に禁酒・禁寿司・禁生ハムに励んでくれ、職場の関係でふだん離れて住んでいるため定期的にリモートに切り替えてこちらに来てくれたり、そして私が休んでいる今も買い出しやご飯の準備を100%やってくれて、育児も夜間シフト含めて文字通り50%ずつ受け持ってくれています。沐浴は私一回もやってないので、夫のほうが100上手です。
我々は夫婦ともにまぁまぁ近い分野の研究者で、夫も学生さんを雇っているような独立度の高い研究員です。とっても優秀です。私が補欠だった学振PDに夫は同じ領域で通ってたけど辞退して私が繰り上がったり、私が面接で落ちたグラントに同じ細目で夫は通ってるような関係性です(ぐぬぬぬ)。それにも関わらず出生関係の手続きや今後の保育園に関しても主体で動いてくれて、本当に感謝しています。ありがとう。多分夫がここを見ることはない気がするけど。
ちなみに床上げまでやるなって言われてる水仕事(洗い物や洗濯)は私がやってるんですけど、あれって水くみとか重いもの持つ必要があった昔の話で、今は別に大丈夫ですよね?(聞くな)
もう少し大きくなったらぜひ我が子に皆さん会ってやってください!⁽⁽ ⸜( ˙꒳ ˙ )⸝ ⁾⁾.
やっておいて良かったこと・便利だったもの
- 付近の薬局のベビーコーナーの写真を撮っておく:写真で指定して買い物を頼めるので、Xで見たライフハックだったけどとても役立った。
- ペットボトルにつけるストロー:よく入院グッズのオススメリストにあるけど、すごく便利だった。
- Go Pro:出産をビデオ撮影してもらったけど、ちゃんと撮れてたしなんやかやスマホだと整理が面倒なので良かった。
- とにかく家から出ない:一週間くらいは動かない。というか動けない。
- 陣痛タクシーの登録:うちの近所は夜でもTaxi Goで意外と車あったけど、安心感が違う
- DockATot:寝室はベビーベッド、居間ではドッカトットで寝かせてます。こっちで寝てるときは必ず誰かが見ながらだけど。最近はちょっと頭のところに傾斜をつけるのがブームらしい。
- 授乳枕 & 抱っこ布団:ここので揃えてます。いろんな寝場所があると気分転換できて良いみたい。
- ケトル:今まで使っていたケトルはラボに寄付して、現在の温度がわかって保温もできるこういうやつを新しく買いました。ミルクづくりやお茶作りにとても便利で買ってよかった。
- いろんなマットやシート:赤子は下からいろんなものをスプラッシュするので。
- 別室で寝られるよう予備の寝具
- 自宅にプリンター・スキャナー:それまで職場やコンビニで済ませてたけど家から出られないのに色々印刷物が必要になるので。
- 文字盤の表示が大きい時計:ミルクの時間をどこからでもはかるのにつかえる
- 座椅子:腰がつらすぎて導入、赤子をあまり高いところにあげたくないので助かる。
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