旧姓を失った研究者が海外でも活躍するためには
突然ですが結婚しました!
そして苗字の珍しさで負けたので、夫の姓にすることに話し合いで決まりました。
今まで名前と生年月日という情報をもとに個人が識別されていたのに、名前が変わるって大丈夫なの!?と思ったらやっぱり大変でした。
ということで、それに伴う名前変更作業などについて記録しておきます。
(これを参考にして何か問題が起きても責任はとれませんので悪しからず)
今まで名前と生年月日という情報をもとに個人が識別されていたのに、名前が変わるって大丈夫なの!?と思ったらやっぱり大変でした。
ということで、それに伴う名前変更作業などについて記録しておきます。
(これを参考にして何か問題が起きても責任はとれませんので悪しからず)
そもそも仕事での名前をどうするか?
研究者にとって、今までの名前で検索して業績がひっかからないというのは致命的です。
私は一応生物系(???)の研究者なので基本的にPubmedを参照することが多いですが、
知り合いの研究者の名前をPubmedで検索してみると、論文誌によって保持される著者名情報が違うためミドルネームの情報ではヒットしない場合が多く、苗字の変更はクリティカルになります。
↑ 姓名などについて詳しく条件づける検索方法は特にないようです
こんなとき、名前をどうするかについては知り合いの(主に女性の)研究者の人たちをみるといくつかのパターンがありました。
もちろん自分のWebsiteやResearchgate, Researchmapなどでは自分で登録していけばいいわけですが、なにぶん申請書やフェローシップの評価者が必ずしもその情報を見てくれるとは限らないわけです。その場合、今結婚前の名義で出した既報は3本しかないですが(´;ω;`)投稿済みも含めるとそれ以上の査読論文が闇の彼方に葬り去られてしまうわけです。
少し前ですが、日本語での文献サイトで(主に女性研究者の結婚に伴う改姓・旧姓と目録・書誌・データベース類について)検索結果がどのように変化するかについて調べているものがありました。やはりすべてを網羅することは難しいようです。
というわけで私が今のところどういう選択をしようとしているか、ですが
私は一応生物系(???)の研究者なので基本的にPubmedを参照することが多いですが、
知り合いの研究者の名前をPubmedで検索してみると、論文誌によって保持される著者名情報が違うためミドルネームの情報ではヒットしない場合が多く、苗字の変更はクリティカルになります。
↑ 姓名などについて詳しく条件づける検索方法は特にないようです
- 例えばHetta HaraさんがHetta Okaneさんになったとき
こんなとき、名前をどうするかについては知り合いの(主に女性の)研究者の人たちをみるといくつかのパターンがありました。
- 旧姓のまま(Hetta Hara)
- メリット 当然楽 であり、今までの活動をまるっとそのまま引き継げる。
- デメリット 戸籍名を強制する表記があったときに、それらを統合する術がない。また、その本人であることを証明することも難しくなる。税金関係や未確認だが卒業論文、証明などは戸籍名になるという説がある。パスポートも原則戸籍名です。
- 新姓に変更する(Hetta Okane)
- メリット 戸籍名と一致するため本人確認で身分証を必要するときにも問題なし
- デメリット もしそれまでに研究活動をしていたらそれらを統合する術がない。医師免許や博士号などの名前と異なるので、証明が難しい。
- ミドルネームに旧姓を入れる(Hetta Hara Okane)
- メリット 一応公式の名前は戸籍名と一致しており、旧姓の情報もわかるので親切な人であれば昔の論文も検索してくれるかもしれない。
- デメリット Pubmedの検索では名前とミドルネーム情報はイニシャルでしか含まれないことが多い(Pubmedの仕様なのか元の論文誌の仕様なのか要検証)ため、Hetta Hara Okaneで検索したとき、Hetta Hara時代の論文はヒットしない。(デフォルト条件では。以下同じ)
- ミドルネームに新姓を入れる(Hetta Okane Hara)
- メリット 苗字と名前はかわっていないので、Pubmed検索ではHetta Haraで検索すれば、以前のものも今のものも表示される。
- デメリット 所属などで新姓で表記されている情報を元に検索すると、当然ヒットしない。
- ハイフンでつなげる(Hetta Hara-Okane)
- メリット ぱっと見は一番わかりやすい。アメリカスタイル(ただしアメリカは別姓も可能)の旧姓表記。
- デメリット 日本の様々な書類は二つの苗字を入れるのに対応していないので、海外関係限定。Pubmedの検索ではHetta HaraもしくはHetta Okaneではこの名前は引っかからない。
- かっこで旧姓を入れる(Hetta (Hara) Okane)
- メリット 上のミドルネームに入れるスタイルは、多くの国では洗礼名など特別な名前が入っており、旧姓であることとは必ずしも認識されない。一方このかっこがきは旧姓であることと認識されやすい(はず?)
- デメリット かっこがきのような特殊スタイルは認められる場合と、そうでない場合が混在するため、スタイルが一致しない。
もちろん自分のWebsiteやResearchgate, Researchmapなどでは自分で登録していけばいいわけですが、なにぶん申請書やフェローシップの評価者が必ずしもその情報を見てくれるとは限らないわけです。その場合、今結婚前の名義で出した既報は3本しかないですが(´;ω;`)投稿済みも含めるとそれ以上の査読論文が闇の彼方に葬り去られてしまうわけです。
少し前ですが、日本語での文献サイトで(主に女性研究者の結婚に伴う改姓・旧姓と目録・書誌・データベース類について)検索結果がどのように変化するかについて調べているものがありました。やはりすべてを網羅することは難しいようです。
というわけで私が今のところどういう選択をしようとしているか、ですが
- 日本の職場では旧姓のまま
- 論文のときにはPubmedでもっとも統一性がとれる Hetta Okane Haraスタイルにする
- このときのためにミドルネームをつけていなかったというのもある
- 銀行は引き落としなどあるので今のものはそのまま、新しい苗字の口座をつくる(予定)ですが旧姓のものの手続きはとてもめんどうなようです
- パスポートはカッコ書きで旧姓併記にする
- ただしIDチップには旧姓は入らないので、口頭で説明するための資料といったところです
- 海外の職場+公式な名前では Hetta Hara Okaneスタイルにする
という方向でいこうと思っています。
私の場合すでに海外の所属で活動をしており、旧姓の情報と紐づかなくなることが不安という思いもあり、論文関係では今までのままミドルネームを足す、所属関係ではパスポートと同じ苗字で旧姓をミドルネームに足す、とするのが一番混乱を招かないですむかなと思いました。
とにかくこの混乱でビザがでなかったりしたらたまったものではないですからね...
ミドルネームがあると賢く見えるという説もあるそうなので、せめてこれでイメージがあがってくれたら嬉しいです・✿ヾ╲(。◕‿◕。)╱✿・゚:✲:
あとは、この名前が変わる前後でもっていた免許証などの身分証はとっておかないと、旧姓の銀行口座などの本人確認に手こずるそうなので、ちゃんと返してもらいましょう。
名前がかわってしたことは?
- 婚姻届の提出→婚姻届受理証明書を受け取る
- これで戸籍謄本ができるまでに仮にいろいろなことができます
- 届けは新本籍と同じところに出さないと謄本の発行ができるまでに追加で時間がかかるそうです
- 急ぎであることを伝えたら1日で発行してもらえました
- パスポートの発券依頼をする(東京都の場合)
- 名前と本籍の変更の際には「更新」ということで今までの有効期限を引き継ぐことができます
- http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/passport/guide/application/0000000364.html
- しかし更新でもパスポート番号は変わりますので、ビザは発給されてからしか手続きをすすめられません
- そして旅行が迫っていたりビザ発給をすぐしなければならないときには婚姻届受理証明書を使って仮発行を行い、受け取り時に謄本を出すことで正式にパスポートを受け取ることができます。これで少しだけ時短ができる!
- http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/passport/others/0000000486.html
- ただしこのときには、なぜ急がなければならないか理由書を書かされます。
- また、仕事の都合などで旧姓併記が必要となる場合にも、理由書を提出します。上司に頼むか、自分で理由をかきます。私は一応履歴書と論文を一部もっていき提出しました
- http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/passport/others/0000000440.html
- 飛行機のチケットとパスポートの名前は一致する必要があるので、すでにチケットを買っているときは更新はあきらめましょう(一応3か月以内に変えないと旅券法違反ですが)
- 住民票を発行する
- 新しい苗字での住民票の発行を行いました、戸籍がかわっていることを念押しする必要があります
- システムの反映のために一晩寝かせる必要がありましたが無事もらえました
- 住民票を使って保険証、免許証、マイナンバーカードの更新をする
- すべての手続きがドミノのようになっていて大変でした...
- 免許証は受理届けではなく住民票の提出が必要でした
- 戸籍謄本の発行
- 法務局での登録が済むと、無事戸籍謄本が発行できます
- これで無事パスポートの受け取りに成功します
- 某振の戸籍名変更
- 税金関係が絡むものは一応登録をしておくのが無難です
- 年金・銀行口座・携帯電話など
- 銀行口座が旧姓のままであれば、携帯電話などの名義は変えなくても問題はおきないかもしれません
名前がかわってしたことは?(未来編)
- SSNの名義変更
- 私はすでにアメリカのSSNを持っているのですが、その名義変更には英文でのMarriage certificate(公印つき)が必要らしいのです。。日本では当然英語版はなく(それぐらいやってくれや...)、自分か業者に翻訳してもらい、公証人役場で承認をしてもらう必要があるそうです。考えるだけでしちめんどくさい...
- 日本に残る相手に変えてもらえばよかったと何度も思った...
- http://www.nakamastory.com/ssn-change-name/
- 追記:実際に変更をしてきました→ソーシャルセキュリティ関連 続報
- 銀行口座の名義変更
- アメリカの銀行の名義変更にもMarriage certificateが必要とのこと。これは何枚か用意しておく必要がありそうです、パスポートに書いておいてくれればいいのに...
追記
- パスポートは有効機関が残っていれば旧姓のままでビザを発行するところまで持っていくこともできます。(一応旅券法的には3か月以内に更新すべし、とありますが...)そして無事発給されてから向こうで名前の変更をする、という案もありますが、どちらが面倒かはおそらく一長一短だと思います。
- 飛行機のチケットとパスポートの名義は少なくとも一致している必要があるので注意
- もろもろの都合で最終的にはここでは触れていませんが、事実婚の知見についても集めていきたいものです
- 事実婚での遺族年金の取得
- 事実婚での出生届け体験談
- 日本では婚外子は2%しかいないが、欧米では半数に達するという記事があったので、行く国によっては事実婚でもさして問題は起こらないかもしれない。(この中だとドイツ・アメリカはちょっと低いみたいですね...?
- アメリカでの別姓の割合はこちらでは20%前後でした
- 人種の違いで苗字を残したい、という需要もあるんですね
- ミドルネームやイコールでつなぐパターンも受け入れられつつあるようです
- Wikepediaの人名のページが面白い
- これを読むと、そもそも苗字を本人特定のために使うのが間違いなのでは...???という気になってくる
Hetta Hara OkaneさんがOkaneさんと離婚してHetta Taijuさんになったら研究者としてのキャリアは一体どうなるんですか???
もはやカオスとしかいいようがないʅ(◞‿◟)ʃ
この不具合に関しては、同姓を選ぶ場合には様々な国で問題になる話なので、もっとNewsやコメンタリーなどで議論するのがいいんじゃないかなぁ。。
私は中学校の頃に世界の夫婦別姓制度について、人権作文コンクールで作文を書いて、
小さな賞をとったこともあるんですが、
ヨーロッパではほとんどの国で自由に姓を選ぶことができるし、子供には両親の姓をつける国もあります。
そしてアジアだからといって夫婦同姓が「強制される国」は日本以外にありません。婚姻を両性に限るのも、同氏を強制させるのも、ただ現状のシステムがそうだからというだけで、実際には(現状では多くの女性に)多大な不利益をもたらしています。
未婚の人が旧姓のままであることで間接的に「未婚である」という情報が伝わってしまうのも、苗字の変更を知らせることで「結婚or離婚」の情報が伝わってしまうのも、おかしな話だと思います。
苗字が一緒になって嬉しい、という感覚は私にはぴんとこないというのもあります。
新しい名前のハンコを作って、変わってしまった、戻れないという責任感は感じました。
それ以上に自分の生来の名前を失う喪失感を強く感じています。
自分の名前に追加される形だったら、二人でさらにパワーアップする!という感じで悪くないと思うんだけど...
今は夫(同じく研究者)とも別姓が認められるまでの辛抱だねという話をしています。
(こういう話し合いができる相手でよかったなぁ(๑・◡・๑))
結婚というシステムで、個人の名前が無理やりかえられるなんて、おかしくない?
名前 と 結婚 に一体なんの関係があるんだろうか?
私は、ちょっとおかしいと思うな。
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